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ダイヤは作りだすことができるはずなのである。
きみたちはこの物語のはじめのほうで、金田一耕助が成城にある大野老人の地下室で、純粋の炭素を製造する、ふしぎな機械を発見したことを覚えているだろう。あの機械と、大野老人の手元から出た、いくつかの大寶石から、金田一耕助はついにこの秘密を見やぶったのだった。
金田一耕助のことばに、香代子は涙にぬれた目をあげると、
「まあ、先生! 先生どうしてそのことを、知っていらっしゃいますの?」
金田一耕助はにこにこしながら、
「だってきみは、あれだけの大きなダイヤを、まるで炭のかけらぐらいにしか、思っていなかったじゃありませんか。きょう警視庁でダイヤの話が出たときも、きみの顔にはありありとそれが出ていましたよ」
等々力警部は目をパチクリとさせながら、世にもふしぎな話を聞いていたが、やがて息をはずませて、
「そ、それじゃ、あの黃金の小箱にはいっていたダイヤモンドも、大寶冠にちりばめてあったダイヤモンドも、みんな人工的に作られたものだというのですか?」
「はい」
「そして、それはみんな、あなたのおとうさんが作ったというんですね」
「はい、そうなんですわ」
等々力警部はいよいよおどろいて、
「ああ、なんということだ。もし、それがほんとうだとすると、たいへんな話になりますよ。日本はたちまち、世界一の金持ちになりますよ。ああ、わかった、わかった。それだからこそ、銀仮面のやつがあなたがたをねらっていたのですね。あなたがたから、人造ダイヤの秘密をぬすもうとしているのですね」
「ええ、それですから、父もおじも、銀仮面にゆうかいされたのです。銀仮面は父やおじに、人造ダイヤを作らせようとしているのです」
ああ、これで銀仮面が、あんなにまでしゅうねんぶかく、大野老人をつけねらっているわけがわかった。いまかりに大野老人をつかって、人造ダイヤを無限に作るとすれば、世界の富を|一《いっ》|手《て》にあつめることができるではないか。
「しかし、香代子さん」
そのとき、しずかにそばからことばをはさんだのは金田一耕助である。
「人造ダイヤのことはいずれゆっくりおたずねするとして、あなたはどうして今夜、こんなところへきたんですか?」
「ああ、それは……」
香代子はきゅうにおびえたような顔をして、
「この家は成城へうつるまえ、あたしたちが住んでいた家なのです。そのとき、父が萬一のことを思って、この地下道を作っておいたのですが、あたし、今夜ふとしたことから、銀仮面の正體に気がついたのです。それで、そのしょうこをたしかめようとして、ここからしのんできたのです」
「な、な、なんですって? 銀仮面の正體に気がついたんですって? いったい、それはだれですか?」
等々力警部はおもわず大聲をあげてきいたが、金田一耕助はいきなりその口を押さえると、
「シッ、警部さん、そんな大きな聲をだしちゃいけません。壁に耳ある世のなかですからね。はっはっは、いや、香代子さん、それはぼくもだいたい見當がついているんですがね」
やみ夜の上陸
ああ、金田一耕助や香代子が気がついたという銀仮面の正體とは、はたしてだれだったのだろうか。……それはしばら