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ふたりは間もなくきょう晝間、ぶきみな老婆が手をあらっていた、あのやぶかげの小道にさしかかったが、そのときだった。金田一耕助がとつぜん、ギョッとしたように立ちどまったのである。
「先生、ど、どうかしましたか?」
「シッ、だまって! あの音はなんだろう」
金田一耕助のことばに、文彥もギョッと耳をすましたが、するとそのとき聞こえてきたのは、なんともいえぬ異様な物音だった。
チャリン、チャリンと金屬のすれあうような音、それにまじってガサガサと、雑草をかきわけるような物音が、林の奧から聞こえてくる。たしかにだれかが、林のなかを步いているのだ。しかし、あのチャリン、チャリンという物音はなんだろう。
金田一探偵と文彥は、すばやくかたわらの木立に身をかくすと、ひとみをこらして音のするほうを見ていたが、やがてアッという叫び聲が、ふたりの口をついて出た。それもむりはなかった。ああ、なんということだろう。こずえにもれる月光を、全身にあびながら、林のなかを步いているのは、たしかにきょう文彥が、あの洋館の客間で見た、西洋のよろいではないか。
西洋のよろいはフラフラと、まるで|夢擼Р≌摺釘啶妞Δ嬰紺Δ筏恪筏韋瑜Δ恕⒘證韋勝�蠆餞い皮い�¥餞筏啤ⅳ餞我蛔悚搐趣恕ⅴ隸慳轔蟆ⅴ隸慳轔螭取⒔鶚簸韋柵欷ⅳσ簸�工毪韋饋H�恧洗氦臥鹿玀頦ⅳ嬰瓢足y色にかがやき、そのうえに、木々のこずえのかげが、あやしいしま[#「しま」に傍點]もようをおどらせている。
あまりのことに、さすがの金田一探偵も、しばらくぼうぜんとしてこのありさまをながめていたが、やがてハッと気をとりなおすと、バラバラと林のなかにとびこんだ。
と、その物音に西洋のよろいは、ハッとこちらをふりかえったが、つぎの瞬間、
「キャ��茫 �
それこそ、まるできぬをさくような悲鳴をあげると、クルリとむきをかえて、林の奧へ逃げだした。
「待て!」
金田一耕助ははかまのすそをさばいて、そのあとを追っかけていった。相手はなにしろ重いよろいを著ているのだから、すぐにも追いつきそうなものだが、それがそうはいかなかったのは、金田一探偵の服裝のせいだった。
林のなかには雑草が一面にはえている。またあちこちに切り株があったり、背の低いカン木がしげっている。それらのものがはかまのすそにひっかかるので、なかなか思うように走れないのだ。
「先生、しっかりしてください。だいじょうぶですか」
「ちくしょう、このいまいましいはかま[#「はかま」に傍點]め!」
いまさら、そんなことをいってもはじまらない。
こうしてしばらく林のなかで、奇妙な鬼ごっこをしていたが、そのうちに、さすがの金田一耕助も、思わずアッと棒立ちになってしまうようなことが起こった。
たったいままで林のなかを、あちらこちらと逃げまわっていたあのよろいが、とつぜん、ふたりの目のまえから、消えてしまったのである。そうなのだ。それこそ草のなかに、のみこまれたように、あとかたもなく消えうせてしまったのだった。
秘密の抜け穴
「せ、先生、ど、どうしたんでしょう。あいつはどこへいっちまったんでしょう?」
「ふむ」
金田一探偵も文彥も、まるでキツネにつままれたような顔色である。
ああ、じぶん