第13部分 (第4/5頁)
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ら、だまって見ていると、すぐ場面はつぎにうつって、山道を走っていく大型バスがうつしだされた。バスのむこうには、のこぎりの歯のようにそびえる山茫�⒛兢伍gがくれにちらほら見える湖水の表……。
「アッ、ここです。ここです」
金田一耕助はおもわず叫んだ。ああ、きのう三太が映畫を見ながら、仮面城、銀仮面と叫んだのは、たしかにこの場面ではないか。
「井本さん、いまの場面と、もう一つまえの絶ぺきの場面、あれはどこでおとりになったのですか?」
「ああ、あれですか、あれならば二つとも、伊豆半島の西海岸、|伊《い》|浜《はま》という村の付近で撮影したのですが……」
「な、な、なんだって、伊豆の伊浜だって?」
だしぬけにそう叫んだのは等々力警部。金田一耕助はその聲におどろいて、
「警部さん、あなた伊浜というところをご存じですか?」
「いや、いや、そういうわけじゃないが、けさ早く、沼津の警察から報告があったんです。ゆうべま夜中ごろ、伊浜の海岸で、正體不明の怪気船が、爆発沈沒したという……」
それを聞くと一同は、おもわずギョッと顔を見合わせた。
仮面城襲撃
伊豆の伊浜はその日一日大さわぎだった。なにしろ、すぐ目のまえの海の上で、汽船が一隻爆発、沈沒したのだから、その|救護作業《きゅうごさぎょう》でたいへんだったのである。
全村総出で、海上にただよっている船員たちを救いあげるやら、傷ついた遭難者の手當てをするやら、たきだしをするやら、さてはまた、流れよる船の破片をかきあつめるやら、それこそ涙ぐましいはたらきだった。
むろん、村のひとたちは、この船がそんな悪い船だとは、夢にも知らなかったが、もし知っていたとしても、やはりおなじようなことをしたことだろう。これが海のおきてなのだ。相手がどんな悪人でも、いったん遭難したとあれば、それを助けるのが、海に住むひとびとのつとめなのだ。
こうして一日じゅう、戦場のようなさわぎをしていた伊浜の海岸も、日が暮れて、夜がふけるとともに、またもとのしずけさにかえった。
救難作業もあらかたおわり、けが人は病院へかつぎこまれて、村のひとたちはめいめいじぶんの家へひきあげていった。
そして、あとにはポッカリと、春の月が空に出ていた。ゆうべ、寶石丸をのみこんだ海も、いまはなにも知らぬげに、のたりのたりと、のどかな波がうってはかえしている。
夜の十時過ぎ。
このしずかな伊浜の絶ぺき目がけて、沼津方面から、しずかに近づいてきたいっそうのランチがあった。
ランチにのっているのはいうまでもなく、金田一耕助に等々力警部、文彥に香代子、ほかに、ものものしいいでたちをした武裝警官がおおぜいのっている。
金田一耕助の一行は、あれからすぐに沼津へ直行して、そこでいろいろ情報をあつめると、こここそ銀仮面のアジトにちがいないという見當がついたので、ランチをしたてて、ひそかに押しよせてきたのだ。
それにしても、文彥や香代子の気持ちはどんなだっただろうか。沼津で聞いたところによると、爆発、沈沒した船はたしかに寶石丸らしいのだ。
と、すればそのなかにとじこめられているはずの、大野老人や文彥のおかあさんはどうしたか……それを考えると、ふたりは胸もはりさけんばかりの気持ちだったので