第11部分 (第3/5頁)
炒作提示您:看後求收藏(八零中文www.80zw.tw),接著再看更方便。
で連れてこられ、ここにしばりつけられて、さるぐつわをはめられたのです」
なるほど、そういえばその男は、まだ若い男だったが、ねまきを著たままで、スギの大木にしばりつけられ、その上に銀仮面のマントを、かぶせられていたのだった。
「いったい、きみはだれだ。あの洋館の者か?」
「そうです、使用人の|井《い》|口《ぐち》というのです」
そこでまた、井口はきゅうに恐ろしそうな聲をあげると、
「ご主人はどうしました。たしかにご主人の救いをもとめる聲が聞こえましたが……」
「ご主人というのは、加藤寶作老人のことですか?」
金田一耕助がたずねた。
「そうです、そうです」
「すると、あのうちは寶作老人のうちですね」
「そうです。近ごろ買って、引っ越してきたばかりです」
「近ごろ買って……そしてまえの持ち主はなんというひとですか?」
「知りません。わたしは知りません。ご主人はむろん知っていらっしゃるでしょうが……」
「よし、それじゃ警部さん、うちへひきかえしましょう」
「いや、それより銀仮面はどうしたのだ。おい、きみ、銀仮面はきみをしばりつけて、どっちの方面へ逃げたんだ!」
「知りません。わたしは仮面をかぶらされてしまったのですから」
「しかし、きみはあいつの顔を見たのだろう。仮面をはずしたとき……いったいどんなやつだった?」
「さあ……?」
使用人の井口は首をかしげて、
「暗くてよくわからなかったのですが、まだ若い男のようでした。三十二、三歳の……」
「よし、それじゃきみたち」
等々力警部は刑事や警官たちをふりかえり、
「銀仮面のゆくえをさがしてみろ。あいつはふつうの洋服すがたになって逃げだしたのだが、けがをしているから目印はある。それをたよりにさがしてみろ。わかったか!」
「はっ、承知しました」
刑事や警官がバラバラと、暗い夜道を散っていったあと、使用人の井口をひき連れて、もとの洋館へ帰ってみると、加藤寶作老人は醫者のかいほうで、ようやく正気にかえったところだった。
地下道の足音
「アッ、警部さん、金田一さん、あなたがたはどうしてここへ……?」
ベッドの上で、ほうたいまみれになった寶作老人は、一同の顔を見ると、びっくりしたように目を見張った。
「加藤さん」
警部は相手をいたわるような目つきで、
「とんだ災難でしたね。しかし、どうしてこんなことになったのです。銀仮面はいったい、なにをねらってここへきたんですか?」
「ああ、それじゃ、あれはやっぱり銀仮面だったのですか」
「そうです。金田一さんはあいつの影が、その窓にうつっているのを見たのです」
「そうですよ。とっさのことで、わたしにはよくわからなかったのだが……」
寶作老人は気味悪そうに身ぶるいをすると、
「わたしは今夜、早くからベッドへはいって寢たのです。いつもは支配人もうちにいるのですが、二、三日旅行しているので、いまはわたしと使用人の井口ふたりしかおりません。それで戸じまりにいっそう気をつけて、十時ごろに電燈を消して寢たのです。す