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「いいえ。まるきり知らないひとですの」

由美子は寒そうに肩をすぼめながら、

「それが、どういうわけか、このあいだからしじゅうああして、あたしのあとをつけていますのよ。あたしも気味が悪くて、気味が悪くて……。ほんとうにありがとうございました。あのひととふたりきりになったらどうしようかと思いました」

「とにかく、そこまで送っていってあげよう」

仱暝餞妨轄黏頦悉槨盲皮柵郡轆�腦�冥虺訾毪取ⅴ穿‘ッとすさまじい音をたてて、冷たい夜風が吹きおろしてきた。時間が時間だから、どの家も戸をとざして、シ��螭惹蓼筏氦蓼盲皮い搿�

「きみのうちはどのへん? 駅の近くなの?」

「|井《い》の|頭公園《かしらこうえん》のむこうですの」

「それじゃたいへんだ。そんなさびしい道を、きみは毎晚ひとりで帰っていくの。だれもむかえにきてくれるひとはないのですか」

「ええ、にいさんが、このあいだから、かぜをひいて寢ているものですから」

「にいさんのほかにだれもいないの?」

「ええ」

由美子はかなしげにため息をついた。

「それは気のどくだ。じゃ、とにかくとちゅうまで送ってあげよう」

「あら、だって、そんなことをなすっちゃ、荻窪へお帰りになる電車がなくなりますわ」

「なあに、そうすれば步いて帰りますよ。さっきのやつがどこかにかくれているかわからないし……さあ、いっしょにいってあげよう」

「ええ、すみません」

そこでふたりはならんで步きだした。

みちみち由美子が問われるままに語ったところによると、彼女はたいへんかわいそうな身の上であった。三年ほどまえまでは、彼女の家庭はひとにうらやまれるくらいゆうふくであったが、父と母があいついで亡くなってからというもの、バタバタと家撙��郡啶い皮筏蓼盲啤⒔瘠扦閒證趣柵郡轆�輟ⅳ嬰螭埭Δ韋嗓螭兢長恕ⅳ趣轆韋長丹欷皮筏蓼盲郡韋扦ⅳ搿�

「それで、にいさんはなにをしているのですか」

「にいさんはたいへんかわったひとですの」

由美子はちょっとためらいながら、

「親戚や知り合いのかたは、みんなにいさんをきちがい[#「きちがい」に傍點]だといいますけれど、あたしはあくまでもにいさんを信じてます。にいさんはただしくて強いひとです。いま、ある発明に熱中しておりますの」

「発明?」

「ええ、親類のひとたちは、てんで相手になってくれませんけれど、あたしにはにいさんに力があることがわかっています。ただ殘念なことには、あたしたちはびんぼうなものですから、ろくに研究材料も買えなくて、あたし、それでいつでもにいさんを気のどくだと思っています」

「なるほど、よくわかりました。それできみは、そうしてはたらいて、にいさんの研究を助けているのですね」

「ええ、……おばさまさえ生きていらっしゃれば、こんなことせずともよかったのですけれど……」

「おばさまというと……」

「ごぞんじありませんか? 去年ウィ��螭峭訾�勝盲可鶚S家の|鯰《あゆ》|川《かわ》|裡《さと》|子《こ》というひとですの」

俊助はびっくりして由美子の顔を見た。

日本人で鯰川裡子の名を知らぬ者があるだろうか。日本のほ

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