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公園には金田一耕助と等々力警部、ほかに刑事がふたり、どこかにかくれているはずなのだが、文彥のところからは見えない。

空はうっすらと曇っていて、ほのぐらい井の頭公園は、まるで海の底か、墓地のなかのようなしずけさである。井の頭名物のひとかかえ、ふたかかえもあるような、スギの大木がニョキニョキと、曇った空にそびえているのが、まるでお化けがおどっているように見えるのだ。

文彥はそういうスギの大木にもたれかかって、さっきからしきりにからだをふるわせていた。こわいからだろうか。いや、そうではない。銀仮面が約束どおり、おかあさんを連れてきてくれるかどうかと考えると、きんちょうのためにからだがふるえてくるのだ。

おかあさん、おかあさん……。

文彥は心のなかで叫んだ。おかあさんさえ帰ってきてくれたら、ダイヤもいらない、小箱もいらない、なにもかも銀仮面にやってしまうのに……。

どこかで、ホ��鄆‘と鳴くさみしいフクロウの聲。池のなかでボシャンとコイのはねる音。遠くのほうでひとしきり、けたたましくほえるイヌの聲……だが、それもやんでしまうと、あとはまた墓場のようなしずけさにかわった。

文彥は腕にはめた夜光時計を見た。かっきり十二時。ああ、それなのに、銀仮面はまだあらわれない。だまされたのだろうか。

おかあさん、おかあさん……。

文彥はまた心のなかで叫んだが、そのときだった。風もないのにザワザワと、もたれているスギのこずえが鳴る音に、文彥はギョッとして、上を見たが、そのとたん、全身の血が、氷のようにひえていくのをおぼえたのである。

スギのこずえになにやらキラキラ光るもの……アッ、銀仮面だ。泣いているとも、笑ってるともわからない、ツルツルとしたあの白銀色のぶきみな仮面。

「うっふふ、うっふふ」

銀仮面のくちびるから、低い、いやらしい笑い聲がもれてきた。

「小僧、よくきたな。いまそっちへおりていく」

銀仮面はまるでコウモリのように、長いマントのすそをひるがえすと、ヒラリとスギのこずえからとびおりた。文彥は思わず一步うしろへあとずさりした。

ああ、恐ろしい。その銀仮面がいま、文彥の前に立っているのだ。ピンと一文字につばの張った、山の低い帽子の下に、あのいやらしい銀の仮面が、にやにや笑いをしている。そして、からだはスッポリと、長いマントでくるんでいるのである。

「うっふふ、うっふふ、小僧、なにもこわがることはないぞ。約束さえ守れば、わしは悪いことはせん。小箱を持ってきただろうな」

「は、はい、ここに持っています」

文彥はポケットをたたいて見せた。

「それをこっちへよこせ」

「いやです」

「なんだ、いやだと?」

「おかあさんを、先にかえしてくれなければいやです。おかあさんはどこにいるんです」

それを聞くと銀仮面の仮面の奧で、二つの目が、鬼火のように気味悪く光った。

消えた銀仮面

ちょうどそのころ金田一耕助は、文彥から三百メ��去毪郅嗓悉勝欷俊⒉蕒啶槨韋勝�摔��欷皮い俊�

金田一耕助ばかりではない。等々力警部やふたりの刑事も、文彥をとりまく位置に、めいめい三百メ��去毪郅嗓悉勝欷郡趣長恧摔��欷皮い毪韋饋

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